2月13日(土)の夜11時過ぎ、東北で起こった地震は、翌朝のニュースで知った。
寝起きながらスマホの画面に「震度6強」の文字が目に入り、慌てて記事に目をやった。
Mj7.3(気象庁マグニチュード) 、最大震度6強、被害は出ているようだが、死亡者の報告がなかったので少し安堵した。
さらに読み込むと「10年前の東日本大震災の余震」との記載がある。
あの地震は今もまだ続いているのかと驚いた。
この3月11日、震災から10年という節目を迎える。
あの日を決して忘れるなと、天からの警告を受けてるように思った。
朝から大きな衝撃を受けたこの日、地震のことをいろいろと考える事にした。
翌朝では、津波もなく死亡者も報告されてないが、気になって過去の地震のについて改めて調べてみた。
「直接死」というのは、読んで字の如く地震が直接の死因となったケース。
阪神淡路大震災では、建物倒壊により圧死された方が多く、
東日本大震災では、津波により溺死された方が多かった。
「震災関連死」は、直接死は免れたものの避難途中や避難後に原因があり、
震災との因果関係が認められたケース。
インフルエンザ感染や、水不足で口内細菌が増えたことによる誤嚥性肺炎、
⾞中泊によるエコノミークラス症候群、
また自殺された方も多数おられる。
避難生活が第二の災害となってしまったのだ。
ここで注目しなければならないのが、「直接死」と「震災関連死」の比率である。
阪神大震災、東日本大震災については、震災関連死の比率は少ないが、
全体の被害者数が多いため、絶対数で見ると決して少ない数ではない。
そして更に注目しなければならないのが、中越地震、熊本地震の比率だ。
圧倒的に震災関連死の方が多いことに驚く。
地震による建物被害はあったが、なんとか命は助かった。
しかしながら、せっかく助かった命を避難生活が原因で奪われた方が多い。
不便ながらも自宅で生活ができていれば、どうだっただろうかと思う。
少し難しい話になってしまうが、
熊本地震では、阪神淡路地震クラスの揺れでも倒壊しないとされてきた
耐震等級2の家が倒壊したことは1月のブログでも述べた。
想定されていなかった繰り返し地震による家の損傷が大きく、
避難生活を強いられた方が多くいらっしゃったのだ。
熊本地震の際、耐震等級3の住宅は16棟存在しており、
大きな損傷をすることなく家族を守り、避難生活も免れたという事実がある。
住み続けるためには「耐震等級3」の強さが必要であるが、
ただ、等級3にはいくつか導き方(計算方法)があり、
同じ等級3でも実際の強度に差があることを知っておられる方は少ない。
許容応力度計算によって導かれる「耐震等級3」の住宅ならば、
受ける損傷も小さく避難生活することなく、住み続けることができる。
家は命を守るだけでは足りない。
住み続ける事ができなければ、命を守り切ったとは言えない。
住み続けることができるということが、どれだけ大事なことか。
住宅の仕事に長く携わってきた中で、地震や震災で起こってきた事実を知り、
自分が人の命を預かる立場に立っていると考え、
耐震の大切さを毎日感じている。
だからこそ、命を守り、本当の意味で安心な家を建てる必要があるのだ。
まだまだ人間にはできることはある。
できるのにやらないのは罪である。
大地震という逃れることのできない事実に対し、人命の尊さを想いながら、
本当に安心のできる「耐震等級3」の住宅が当たり前になることを切に願う。
代表取締役 楠亀 輝雄